白点病のワイツマニーテトラの治療とその後
4日ほど前のことです。
ワイツマニーテトラが白点病になってしまいました。
白点病は海水魚の場合、不治の病でほとんど治りません。
私は某大学の学生だったとき(バレそう笑)、マダイの白点病が流行して数万匹の死を目の当たりにしました。それはそれは本当にすさまじい光景てした。
倫理的問題も有るかと思いますが、死んだ魚から弱った魚まで生死問わず網ですくって冷凍→産業廃棄物です。
養殖魚が店頭に並ぶまでそういった「命」というものを考えさせられる場面っていくつもあります。牛や鶏や豚も一緒です。スーパーにいっていつも肉や魚があることってそれはそれは本当に凄まじいことなんです。
話がそれました。
白点病にかかったマダイも救う努力はします。どのように努力をするかというと、
「海流の早い場所に生け簀ごと移動させる」
というものです。
白点病の病原となる生物は魚の体表で魚から養分を吸収した後、海中に離脱し、シストと呼ばれる包嚢になります。簡単に言うとサナギみたいなもんです。
蝶は幼虫からサナギを経て成虫になり卵を産みますが、白点虫は幼虫から成虫になり、シスト(サナギ)を経て分裂し、幼虫になります。
※分かりやすく述べただけで厳密に言うと正確ではありません。
魚の体表で成長した白点虫は十分に養分を吸うと海中に離脱し、シスト化します。その後、シストが分裂し幼虫が大量に海中に解き放たれ、魚体に寄生するというサイクルな訳です。
つまり、海流の早い場所に病魚を連れていって、シストが分裂した後の幼虫が魚体に再寄生しにくいようにするということが治療となるという理論です。
効果的ですが、まぁ完治するレシピではないことは確かです。
海水魚と淡水魚の白点病の原因となる原虫は異なりますが、魚体→シスト→幼虫→魚体……というサイクルは同じです。
一般的に淡水魚の白点病の場合は、
①加温
②薬浴・塩浴
これらが有効とされています。
しかし、実は意味がちょっと違います。
白点虫は魚体に寄生すると粘膜の奥深くまで侵入し、薬浴しても水中の有効成分が効かなくなります。シスト→幼虫の水中を漂う期間にしか有効成分が効かないってことです。
そこで、加温することによって白点虫のサイクルを加速させる訳です。
早くシスト化させ、幼虫を叩く!
これが王道ですね。
また、早くシスト化させることで魚へのダメージも軽減されるかと思われます。
前置きが長くなりましたが、今回のワイツマニーテトラにはどんなことをしたのか。
答えは、「何もしない」です。
正確には上記①②ではなく、水草トリミングと水流を強くすることと換水を治療としました。
ワイツマニーテトラ以外に感染が見られない。
↓
白点虫の増加はそれほどの規模ではない。
↓
遊泳力の弱い種類にしか寄生していない。
(ワイツマニーテトラはホンマに遊泳力が弱い)
このような仮説のもと、トリミングと吐出口の向き調整などで水槽内の止水域をできる限り無くし、水を半分換え(漂っている幼虫を減らす!)、あとはワイツマニーテトラの生命力に賭けました。
夏場の高水温時期ですので、クーラー使用でも27℃はありますので加温もなし。
結果
本日(8/29)、キレイに治っていることを確認。
もしかしたら全部シスト化した可能性も無くはないですが、確率的に全ての白点虫が一斉にシスト化するとは考えられないので完治と考えて良いでしょう。
まぁ、何が良かったのかホンマのところは白点虫にしか分からないんですけどね(笑)
昨今のアクアリウム事情では何でも投薬の流れです。それは実は全然意味を成していない可能性があります。もちろんバッチリ投薬で治る場合もありますが、養殖現場等では魚が肉になったときの薬の残存量が重要なので禁止されている薬物もあるくらいです。
それでもあれだけの魚を養殖できる訳ですので、世のアクアリスト達には今一度、本質を考えてもらいたいものです。
薬、めっちゃ高いっす。熱帯魚屋も水質調整剤だの魚病薬だの何だの言ってないで、魚を飼うことの楽しさをもっと世に広めようとしてほしいものです。
なお、ここまで書いておきながら我が家には観パラDとアグテンが常備薬として保存されております(笑)水草水槽にはコレっすね!
滑走細菌だけはほんまに怖いんで!
と、言い訳しておきます。
こいつだけはほんとにトラウマ。。。